忍者ブログ
萌えの呟きみたいな日記
[18]  [17]  [16]  [15]  [12]  [6]  [4]  [3]  [1
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


斑目×真田……というか、斑目→真田でしょうか。

斑目は真田先生を好きなのに、真田先生はそれにまったく気づいていないといいですね。
無自覚だと本当にいいですね。
でも変なところで勘がいいので、気づいてもさりげなくなかったことにしたり。
それすらも、全部無自覚無意識でやってしまったりと、大人のずるさ(真田のずるさ)を最大限に使うといいと思います。




---------------------------------------------------------------------------------


そこに在る意味





ランチタイムをいつもどおりバカサイユで過ごしていたら、担任の南がデザートと称してスライムみたいな異形の物体を持ち出してきたので、B6の寛ぎの空間は瞬く間に阿鼻叫喚の場と変わった。
南としては、ランチタイムが終わっても、しばらくバカサイユで寛いで午後の授業に出席しないこともあるB6に持ちかけた「これ食べたら教室に戻るのよ」という交換条件のつもりだったのだろうが、もちろん逆効果だ。
しかし結果的に「それを食べるくらいなら教室に戻る」と、B6が逃げ出したので、南の目論見はある意味成功した形になった。本人はとても不本意そうではあるが。

そんな形で、早めにランチタイムを切り上げてしまった面々は、教室や他の場所で残りの昼休みを過ごしていた。

翼は永田と今日のスケジュールの打ち合わせに行き、一は悟郎と学校内に居ついている猫や犬たちに餌をあげに行った。瞬は、ベースのケースにイタズラをされたことに気づいて、犯人である清春を追いかけて校内を駆け回っている。
一人残された瑞希は、いつもどおり教室の後ろの席で、ぐうすかといびきをかいていた。
ランチタイムが終わって授業が始まっても、瑞希は昼寝をする。南の授業と、約束をした真田の授業は起きることにしているけれど、それ以外は大概眠りについている。
決して嫌味ではなく、天才である瑞希がこの学校で得ることができる知識はもうないから。
瑞希は、卓越した頭脳を持っているから、勉強など必要ないし、しなくても全ての知識が頭に入ってくる。
一度見たものは忘れないし、いつなにがあったかも、忘れない。聞いたこともされたことも、全部覚えている。
正直、学校などこなくてもいいくらいだ。なにをしに学校に来ているのかと問われて、その口から出る答えは間違いなく「勉強」ではないだろう。

(……だったら、なにをしに?)
瑞希は少しだけにぎやかな教室の中で、まどろみながら思った。
自分はなにを求めてここにいるのだろうか。
たくさんの人間に囲まれて、わざわざ嫌いな体温がひしめく中にいる意味がわからない。
あの研究所を飛び出して日本に来て、そしてこの学校に転校してきたけれど、それからどうすればいいのかわからないまま。
ただ、あそこから出られればいいと、それだけを思っていたから、その目的が達成された今、次が見えないのだ。
けれど不思議なことに、前ほど学校を辞めたいとか、どうでもいいと思わなくなっていた。
勉強なんかしなくてもいいのに担任の熱心な補習を受けているし、金に困っているわけでもないのにモデルのバイトもしているし、こうして毎日学校にきている。
寝てばかりだとしても、休むことは滅多になくなった。
(不思議……)
こうして、窓から差し込む陽の光が、とても心地いい。
耳障りだと思っていた教室の中の生徒の声も、研究所の人間みたいに無機質じゃなくて、表情を持っているから、聴いていても煩わしいと感じない。
それはきっと、いつの間にか、この学校が瑞希の居場所になっていたからかもしれない。
親友とも呼べる人たちがいて、南という信頼できる教師もいて、瑞希を受け入れる場所がある。
幼少時の辛い出来事すら、う思い出話にできるほど、瑞希はこの場所で、人で救われていた。
(授業はつまらないけど、悪くない)
そんなことを素直に思えるほどに。

そして、もう一つ。
瑞希は外ではしゃぐ生徒たちの声を聴きながら顔を上げた。
外は快晴。けれど、風が強くて外での授業には向いていない。
時計を見れば、もうすぐ昼休みの終わりを告げる予鈴がなるだろう。
「……」
「あれ?瑞希、どこ行くんだ?」
「ポペラ~って予鈴なるよ?」
教室を出ようとしたところで、動物と戯れてご満悦な一と悟郎と鉢合わせした。
「……ん」
軽く頷くと、一が首を傾げて瑞希を見つめる。
「サボり?南先生に怒られるぞ」
「……うん」
わかっているけれど、今はどうしても行かなくてはならない。
瑞希はちらりと一を見てから、その脇をするりとすり抜けた。
「瑞希なんだって?」
「なんか、具合が悪いから保健室に行ってくるってよ。昼寝だろ」
「せんせーのデザートでお腹壊したのかな?」
「いや、食ってねえだろ」
「匂いだけでも、ゴロちゃん気分悪くなったよ」
「う~ん、まあ大丈夫だろ」
心配そうな悟郎の頭をぽんぽん叩いて、一は教室の中に入った。
体調が悪いと言っても、きっとただの昼寝だろうと一は思っていたけれど、なんとなくそれ以外になにかあるような感じではあった。けれど瑞希のことだから深入りせずにいようと、一は次の授業の準備をするべく、悟郎に次の教科を聞くことにした。





 

「……よいしょ」
「う~ん」
重すぎるほどではないけれど、一応成人男子なだけあって、それなりに重い身体を清潔なベッドに寝かせて、瑞希は肩を竦めた。
いつも瑞希が昼寝に使っている保健室のベッドの上には、外国語の教師の真田が横たわっている。
眉根を寄せて、夢でも見ているのかうんうん唸っている。
「どうして、予想通りのことをするんだろう、この人は……」
たまには自分の予想を超える動きをしてほしいと思うのだが、単純なわんこである真田には無理な注文のように思えた。
瑞希は軽く水を絞った冷たいタオルを真田の額に乗せ、その寝顔を見下ろした。

瑞希が教室を出て数分後。
校庭でサッカーをしていた生徒の放った渾身のシュートが、強い風に煽られて、近くで女子生徒とバレーをしていた真田の頭に直撃した。
不意打ちを受けた真田は情けなくも撃沈し、そこを通りかかった瑞希に担がれて保健室へと連行された。
もちろん、瑞希が通りかかったのは偶然ではなく、こうなることを予想してのことだった。
真田には、何故かマンガやコントのような偶然にしてはできすぎる事故が多い。ボールもそうだが、振り向いたら看板に当たったとか、マンホールの蓋が開いていたから飛び越えたら、その先に置いてあった蓋につまずいて転んだとか、そういう安っぽい事故が。
だからと思って瑞希が校庭を横切ると、丁度真田の頭にサッカーボールが向かっていた。
予感的中というわけで、ちょうど保健室に行こうとしていた瑞希が真田を担ぐことになった。

 

(おもしろすぎるよ、せんせい)
タンコブができていないかと、後頭部に触れると、痛かったのか、ううん、と真田が唸った。
真田の行動は単純だから、予想するのが簡単だ。
ふわりと布団を持ち上げて、瑞希は真田の横に身を滑らせた。
そして、真田の身体を押しつぶさないように気をつけながら、その上に被さってみる。
間近にある、子供っぽすぎる真田の顔。やんちゃな少年をそのまま身体だけ大人にしたような。
その顔の横に両肘を付いて、少しだけ身体を密着させてみれば、温かい体温が伝わってきた。
他人の体温は気持ち悪いばかりで、どうしても好きになれなかったけれど、この温かさが真田の生きている証だと言うのであれば、心地よく感じる。
少しだけ高い体温が、瑞希の眠気を誘う。
(……ねむい)
このままこの身体に腕を回して、抱きしめて眠ってしまえたら、どんなに気持ちいい夢が見れるだろう。
「トゲ~」
眠りそうになる瑞希の手の上に、それまで隠れていたトゲーが飛び乗って、まるで寝ては駄目だというように見上げてきた。
「……うん、つぶれちゃうね」
真田先生は、小さいから。

そう呟いたと同時に、真田がぱっちりと目を覚ました。
「……」
まさか「小さい」という単語に反応したわけじゃないだろうが、瑞希はいきなり目を覚ました真田にちょっとだけ驚いた。
予想ではもう少し眠っているはずだったから。
「あれ?俺、なにしてんだ?」
きょろきょろと頭を動かして、そして頭の奥に響いた痛みに顔を顰めながら、やがて真田は瑞希に視線を止めた。
「斑目?」
「うん、おはよう、先生」
痛いの痛いの飛んでけ~と言うように、瑞希が真田の頭を優しく撫でると、真田は心地よさそうに目を細めた。
しかし、すぐに現状に気がついて目をばっちりと開ける。
「ちょ!斑目なに人の上に乗っかってんだよ!重いだろ!」
「……失礼。ちゃんとつぶさない程度に乗ってる」
「乗ってることには変わりないだろ!降りろ!今すぐ降りろ!」
「……」
保健室に運んでやった優しい生徒に対して、その態度は失礼なんじゃないだろうかと思った瑞希は、むっとして真田に全体重を預けて圧し掛かった。
「うわっ!マジ重いから!つぶれる!つぶれる!」
「……先生、助けてあげたのに」
「え?」
鈍感な真田にもわかるくらいに、瑞希が不機嫌そうな顔をしてみせると、真田は一旦動きを止めて、それからあ、という顔をした。
「斑目、……お前、あのとき」
「うん。先生が派手に気絶したから、介抱したの、ぼく」
「そっか……ありがとうな。俺、お礼も言わずに怒鳴っちゃって、ごめん」
すまなそうに目を伏せる真田の姿が、本当に子犬のようで、瑞希は思わず笑った。
「な、なんだよお前!お礼言ってるのに!」
「ふふ、先生に耳が見えた」
「はあ?」
瑞希はそう言うと、真田の顔の脇に付いていた手で彼の髪に触れた。
「この辺に、犬の耳が見えた」
「だから犬じゃないって……!」
両手で囲うように頭を撫でていると、癒し効果なのか、眠気が瑞希を襲ってくる。
「……眠い」
「わっ!このまま寝るなって!」
「だって、先生がぼくの場所で寝てるから……」
さっきは我慢していたけれど、もう起きたから大丈夫だと勝手に判断して、瑞希はそろそろと真田の身体をぎゅっと抱きしめた。
つぶすといけないので、身体を横たえて、真田の身体を瑞希の腕の中に収める感じで。
「おい斑目!」
「重くない……」
「重くないけど苦しい!っつーかなんだよこれ!」
「抱き枕……」
「俺は犬じゃないって!」
暴れる身体を押さえつけるのは容易じゃない。というか、眠いのに眠れないこの状態が瑞希には辛い。
だから大人しくしてほしいのに、真田は依然として大人しくなる気配がない。
男に抱きしめられて、普通は大人しくするわけないのだが。
けれど、相手は真田だから。
少し天然が入っているような、かわいいかわいいわんこだから。
「真田先生」
「なんだよ」
「安静にしてないと、また痛くなるよ」
よしよしと、サッカーボールが直撃した辺りを撫でると、痛みを思い出したのか、真田の身体が固まった。
「頭に当たったんだから、少し寝てたほうが、いい……」
「わかってるけど、俺はこれから授業が」
「……今日はもうない」
瑞希の記憶によると、今日の真田の受け持ちの授業は、午前中に全部終わっているはずだ。
「うう……」
「先生、観念してぼくに身を委ねなよ」
「その言い方が嫌だ!」
「ああ、うるさい……」
きゃんきゃん騒ぐ真田の身体をまた強く抱きこんで、その頭に顔を埋めた。
「ちょっとだけ、眠りたい……」
「……なら、俺抜きで寝ろよ……」
「先生は、とてもいい抱き枕……よく眠れる……」
「……俺って……」
情けない顔をした真田の背をぽんぽんと叩いて、瑞希は目を閉じる。
「大丈夫……先生だけ」
「え?」
真田が聞き返したのに答えずに、瑞希はそのまま眠りについた。


先生だけ。
真田だけが、瑞希の眠りを安らかにしてくれる存在だ。
誰かが近づけばすぐにわかるのに、真田と南だけはいつも気づけない。
それどころか、近くに在るだけで、眠れる。
でも、こうして密着してまで存在を感じていたいのは、真田だけだ。
求めたいのは、真田だけ。
何故かなんて、瑞希の天才的な頭脳を持ってしても、まだ答えが出ないけれど。

だから、瑞希が学校にくる理由の一つに、真田がいる。
(十分な、理由)
腕の中の存在を、近くに感じれるなら。

 

 



その後、瑞希はすやすやと眠りながらも、腕の力を緩めることはせず、結局放課後の補習のために探しにきた南に発見されるまで、真田は手のかかる生徒の腕の中で大人しくする羽目になった。

「大声で怒鳴って起こせばよかったんじゃ?」
「でも、南先生ならできますか!?」
「え?」
「あんな、無防備な顔されて。あの斑目が!」
「真田先生……」
「いつもそっけなく俺のこと無視してた斑目が、子供みたいに俺の手を離さないなんて!」
「……」
「あいつもやっと俺に心を開いてくれたんだなって思ったら、なんだかすごく嬉しくて、俺!」


感動したような真田が、ぐっと拳を握り締めたのを見つめながら、南は内心でため息をついた。
(かわいそうに……)
南のその心の言葉は一体誰に向かったのか。
瑞希の想いにまだまだ気づく気配がなく、そんな瑞希を無意識に受け止めている自身の気持ちにも全然気づいていない真田にか。
それとも、何気に積極的に好意を向けているのに、一向に報われない瑞希にか。


恐らくどちらに対してもだったのだろうが、南は己が口を出すことではないと、そっと真田に笑いかけたのだった。

 

 

 

 

PR
カレンダー
05 2026/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
リンク
最新コメント
[12/20 ま]
[11/26 ま]
[11/22 N屋]
[11/21 ま]
[10/08 ま]
プロフィール
HN:
白井たき
性別:
女性
自己紹介:
うっかりAPHにはまったオタク。
メインCPは西ロマ・普墺。
その他、米英・東西兄弟・墺洪、スーさん夫婦、リトポも好き。書くかは不明。だけど好き。
尾張のうつけ×日本という異色も好き。
わりと雑食。

過去に書いたVitaminXのSSも放置してます。
Copyright © 永遠のsleeper All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog
Graphics by 写真素材Kun * Material by Gingham * Template by Kaie
忍者ブログ [PR]