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萌えの呟きみたいな日記
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斑目×真田です。

こんな感じの二人だったらいいなあと。
基本の二人を書いてみました。
まだ二人がつかめていないので、手探り感が……



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手のひらの温度




それは、斑目の補習担当である南が風邪で休んだ日のこと。
外国語の担当教師である真田は、意気揚々と、今にも走り出しそうになりながら、とある教室に向かっていた。

「ちわー!」
がらりとドアを開けて、元気いっぱい挨拶をする。
顔中に「元気です!」と書いてあるような真田の笑顔は、到底二十歳をとうに超えた教師には見えない。去年卒業した生徒だと言っても、きっと納得されるだろう。
真田は嫌がるだろうけれど、そのちょっとした幼さが、生徒たちに親しみや近づきやすさを与えていて、だから彼の周りはいつも賑やかだ。
真田に懐いている生徒たちは、こぞって彼の頭を撫でたり気楽に世間話をしたりする。
それが教師の立場として、いいことか悪いことか。わからなかったけれど、でも、生徒たちが気兼ねなく自分に接してくれるのはいいことだと、真田は思うようにしている。
実は、教師よりも生徒のようだと思われているということを、考えないようにして。

元気よくドアを開けたはいいが、そこに帰ってくる返事はなかった。
「あれ?教室間違えたか?」
一度教室の外に出て、学年とクラスが書いてある表札を見る。

”Class X”

間違いない。
真田は、Class Xの教室にやってきている。
南のために。

『すいません、実は……』

電話越しの弱々しい声音を、真田は思い出す。
声を出すのも辛いのだろう、少し喋るとすぐに南は咳き込んだ。
昨日から、なんとなく顔色が悪いような気がしていたのだが、それを言うと彼女は曖昧に笑ってを誤魔化していた。
きっと、受け持ったクラスがやっとまとまりかけてきた今、自分が休む訳にいかないと我慢して言い聞かせていたのだろう。
いくら『病は気から』だとしてもそんな状態で体調がよくなるわけがない。案の定南は、授業中に倒れて、病院送りとなった。
幸いにも、風邪をこじらす手前だったので、病院では点滴程度で済んだらしいが、さすがに倒れたとあっては、学校に出勤させるわけにいかない。
大丈夫です、と言い張る南に、T6総出でそれを阻止した。
さすがにT6全員から諌められては引き下がるしかできない南は、掠れた声で丁度電話を受けていた真田に言ったのだ。

『今日の放課後は、斑目くんの補習だったんです……』

最近やっと補習にも出てくれるようになった(半分以上は寝ていたり上の空だったりするが)瑞希のやる気をここで削ぎたくないと、南は電話越しに訴えた。
風邪を引いて、喋るのでさえ大変なのに、それでも生徒のことを第一に考える南に感動した真田は、誰かが言い出す前にく「俺が代わります」と答えたのだった。
もちろん、誰も反対する教師がいるわけもなく、むしろねぎらいの言葉や励ましの言葉が真田にはかけられた。
真田は「やってやる!」と情熱的な炎を燃やして、放課後斑目の補習の場所であるClass Xの教室へ向かったのだった。


なので、今、真田は斑目に補習をさせるため、ClassXの教室にきたのだが。
「……誰もいないな」
ドアを開けても返事はない。そして、気配や話し声もしない。だから、真田は始めクラスを間違えたのかと思った。
しかし、表札は間違いなく、目的のクラス。
真田がきょろきょろと見回すと、窓際の一番後ろの席に、真っ白い大きなものが乗っているのが見えた。
「あ、斑目」
白いものはもちろん白いものではなく、れっきとした人間で、真田の教え子の斑目瑞希だった。
机に突っ伏して───いや、仰向けになって、ぐうぐうと眠りこけている。
「おーい、斑目~」
「クケー」
参考書片手に近づくと、するするっと瑞希の服の下から真っ白なトカゲが現れた。
「お、トゲー」
愛嬌たっぷりの珍しいトカゲであるトゲーが、眠り続ける瑞希の代わりに片手を上げて挨拶をしてみせる。
「お前の友達は、今日もよく寝てるな。っつーか寝すぎだよな?」
上げたトゲーの手に指先で触れて、真田は肩を竦める。瑞希が寝ている机の前の席に腰を下ろして、その寝顔を見つめた。
こんな生徒を毎日相手にしている南には、改めて頭が下がる思いだ。
まだ南が高等部に赴任する前、B6がまだ自由気ままに馬鹿さを遠慮なく発揮していたころ。
そのとき、瑞希は転校してきた。
周りとは違った雰囲気を持つ彼を見て、真田はなんだか彼を放っておいてはいけないような感覚を持った。
ぼーっとしてふらふらして、人の話を聞かないで寝てばかりいる瑞希だが、実は誰かが自分のテリトリー内に入ると、微かに警戒心を発する。
徐々にB6にはその警戒心を解いていったが、その他の生徒や教師たちには、一向に心を許す気配はなかった。
転校時から瑞希を気にかけて話しかけている真田も、その中の一人だ。
正直、うっとおしいと思われているのも真田自身わかってはいたが、持ち前のポジティブさと鈍さをここぞとばかりに利用して、それに気づかないふりをした。
そして、懲りず瑞希に接触を試みている。
その成果あってか、最近はこうして、寝ているときにも瑞希に近づくこともできるようになって。
「……まあ、南先生のおかげもあるけどさ」
南が赴任してきて、B6の生徒たちと真正面からぶつかって、そして彼らの心の壁をどんどん打ち崩していってくれたから。
その壁の向こうに、南に便乗して行ったというのが、正しいのかもしれない。
「南先生はすごいよなあ。こーんな問題児を素直にさせちゃうんだからさ」
人を寄せ付けない雰囲気のあった瑞希を、ここまで無防備にさせる南を尊敬すると共に、少しだけ、ほんの少しだけ嫉妬する。
「やっぱり俺じゃ、駄目なんだよなあ」
瑞希を心配しているのは、自分だって同じなのに。
彼が心を開いて、もっとたくさんの人と触れ合って、知識を得て、人生を歩んでいってほしいのに。
瑞希の雰囲気は、なんとなく他の生徒とは段違いに違うなにかを持っている。どこか人生や未来になにも期待していないように、他人事のように思っているように見える。
だからこそ、そうではないことを、知ってほしかった。
それを伝えたかったのに、真田はいつも空周りをしている。
「俺、先生に向いてないのかな」
「クケー」
はあ、とため息をついた真田に、トゲーが心配そうに鳴いた。
「トゲー、慰めてくれてるのか。いいやつだな……」
手を伸ばすと、その手にひょいと乗って、とととと、と素早く真田の肩に駆け上った。
最初は警戒心が強かったトゲーでさえ、今はこんなに懐いてくれているというのに。

「俺、動物園の飼育員になろうかな」
「……ふふ」
ぽつりと呟いた真田の言葉に、寝ていた瑞希が小さく笑った。
「え?」
「せんせい、飼育員なんてやめなよ」
見ると、瑞希はいつの間にか目を覚ましていて、さも面白いものでも見るように目を細めて笑っていた。
「お前、起きてたのかよ!い、いつから!」
「……ん?せんせいが、教室に入ってくるくらいから……かな……」
ということは、瑞希は真田が教室に入ってきたことも、独り言のような愚痴を呟いていたことも、全部寝たふりをして知っていたのだ。
「お、お前……!起きてるならさっさと起きろよ!」
「やだ……ねむいもの」
「寝てなかったくせに!」
キーっ!とかんしゃくを起こすと、瑞希はむくりと起き上がって、真田に向き直った。
「せんせいの、ひとりごとが、うるさくて……」
眠れなかった、とあくびをしながら言われて、真田は真っ赤になった。
「それより、先生、飼育員なんてやめなよ」
「なんでだよ」
別に本気でなろうと思っているわけじゃないけれど、そう言われると反抗したくなる。そういうところが子供っぽいと思われているのを、真田は気づいていない。
「だって、さ」
瑞希が面白そうに真田の頭に手を置いた。
「先生が、逆に飼育されちゃうよ……わん、って鳴いてごらん」
「俺は犬か!」
「犬っていうか……こいぬ?」
「馬鹿にすんなー!」
頭に置かれた手を振り払って、瑞希から距離を取ろうとすると、その振り払ったはずの手が真田の肩に置かれた。
意外に強い力でつかまれて、真田の動きが思わず止まる。
「な、なんだよ」
ぐいっと引かれて、瑞希との距離がさらに縮まった真田は、なんとなく居心地が悪くて目を逸らした。
「先生は、子犬みたい……」
「……!だから、!」
「ふふ……わかって、ないね」
瑞希は、小さく唇を緩めて笑う。
「無邪気で、警戒心がなくて、人懐こくて……」
肩に置かれた瑞希の手が、真田の頬に触れた。
「きゃんきゃんうるさくて、呼んでもないのに寄ってきて、」
近づく瑞希がなにをしたいのかわからなくて、けれど動けなくて、真田はじっと瑞希の細められた目を見つめる。
「だから、しょうがない、って、思っちゃうんだ」
温度の低い指先が、真田の目元をするりと撫でて、そして離れていく。
離れていく手の上には、いつの間にかトゲーが乗っていた。
真田が変に動いたせいで、肩から落ちそうになっていたトゲーを救い出したのだと、そのときに知る。
そしてそのまま立ち上がると、ゆっくりとした足取りで教室を出て行った。

補習のためにこの教室にきたのに、瑞希は帰ってしまった。
頭ではわかっているのに、引き止めないといけないのに、真田は動けなかった。
なんだか瑞希に、今とても大切なことを伝えられたようで。けれど、それがなんなのかわからなくて。
きっと、大事なことだったのに。

「……斑目」
頬に触れた手の温度は低かったけれど、確かに人間の温度。
それが酷く嬉しくて、真田はしばらく呆然とその場に立ち尽くしていた。

 

 

 

 

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うっかりAPHにはまったオタク。
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わりと雑食。

過去に書いたVitaminXのSSも放置してます。
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